FC2ブログ

記事一覧

長焦点か。短焦点か。

個人的に常々思うのですが。長焦点´神話´というのはとても根強いと感じています。冷静に見てみましょう。

<長焦点のメリット>
・対物系の収差の´アラ´が見えにくい(詳しくは長くなりますので、ここでは触れません)。
・上記の理由により、光学系を比較的単純に出来る。→ コストの低下。像の明るさやコントラストよくなる傾向がある(設計による)
・性能が安定している、中~長焦点アイピースで、高倍率が出せる。
・焦点深度が深いため、ピントが比較的寛容。
・反射系では、´中央遮蔽´を小さく設計できるので、結像性能やコントラストの良い影響が出る(もちろん設計による)
・・・・・こんなところでしょうか。

では逆に・・・

<長焦点のデメリット>
・でかい!!長い!!重い!!(口径にもよりますが。)
・上記理由により、搭載する架台等も大きくなり、トータルでサイズが大きく、重くなる。
・それに伴い。トータルコストは意外に高くなる??(赤道義って高価ですからねえ)
・操作性が悪い(口径や光学系にもよる)。
・低倍率が出しにくい。
・・・・etc

思いつくままに書いてみました。

もっと長焦点の光学性能の有利性について述べてほしいとお思いの方はいらっしゃると思いますが。自分は

「現在では、設計次第で長焦点と短焦点の結像性能での差は。特に中央遮蔽の無い屈折望遠鏡では無い。」

と思ってます。



左は天文ガイド1999年10月号「高橋製作所(初代)FSQ106」のテスト記事。右は同2002年2月号「TeleVue NP101」のテスト記事。

以下は、1999年10月号の記事から、一部、抜粋。



21世紀を迎えるころ。各メーカーが屈折望遠鏡に、いわゆる「ペッツバールタイプ」の設計を持ち込んで。ちょっとしたブームの気配が漂ってた時期でした。上記の記事で注目すべき点は。短焦点屈折望遠鏡でも・・・

・収差や製作誤差を充分小さく抑え込めば、口径相応の分解能がちゃんと得られる。
・「短焦点は長焦点に比べて像は多少甘いが写野が明るいので直焦点撮影向き」というコンセンサスがあったが、それはもはや過去のものとなった。
・「機内持ち込みが出来る高性能望遠鏡」として、むしろアメリカで人気があり。出荷量は(当時)日本の10倍に達してる。

この記事が書かれたのは、すでにもう17年前。もちろん長焦点の望遠鏡のほうが、性能を出しやすいのは紛れもない事実ですが、そろそろイタズラに「長焦点だから良く見える。」というのは、やはり時代遅れではないのかなあ。長焦点望遠鏡がアマチュア用の中心を占めていた、30年以上前より、いまのほうが素材も、設計理論も。製法も。処理方法も進歩してるはずですから。そうでないと天文業界の悪夢的な低帯を意味します。そんな悲劇的なことは幸いなことに無いですし。合理的なアメリカ人は、いち早く(20年近く前に)そこを見ぬいていたのではないかなあ。そろそろ日本の天文マニアもイタズラな「長焦点礼賛」から卒業して、冷静になって長焦点と短焦点のメリットとデメリットを。客観的に、光学性能だけでなく運用面やコストも含めて総合的に判断するべきではないかなあ・・・と、常々自分は思ってるのであります。

スポンサーサイト



コメント

No title

TV-85(短焦点ではないですが)が若干色収差が残ってますが、軽量で良く見える
ので、同じTeleVueの10cmはどうかと思い、先週末、NP101isをポチってしまい
ました(USED品ですが)。こもロハスさんが紹介されている「TeleVue NP101」の
テスト記事の内容が知りたいところです。

No title

> ken*ak*ha*hi20*さん
TV-85は自分も一時所有していたこともあり、その高性能ぶりは存じあげております。クラークタイプという球面収差補正を優先した特殊な設計のため、若干の軸上色収差はありましたがとてもシャープで良く見えました。
NP101のテストについては、ロンキー像も載せれれていて。収差補正も当時の高橋のFSQやPENTAXのSDPに全く引けをとらない。研磨面の滑らかさは特筆物・・・との評価が載っていますよ。コンパクトで軽い、高性能な眼脂用望遠鏡で、自分も欲しいのですが。なにぶんお値段が・・・。羨ましいです(笑)

No title

> ken*ak*ha*hi20*さん
あ・・・ちなみに、口径比F7は、眼視用途としては、かなり短焦点に位置づけられると思いますよ。

No title

こもロハスさん、NP101のテスト記事の要約、ありがとうございます。
FSQ106と比較して、NP101はイメージサークルが狭いようで、x08レ
デユーサー使用で対角線30mm,フラットナー使用で対角線40mmです。
この点ではFSQの改良型ペッツバールは、TeleVueより進化してますね。
それとTV-85の光学系はクラークタイプと言うんですか、知りません
でした。

No title

> ken*ak*ha*hi20*さん
眼視用の望遠鏡の場合。像面の平坦さは撮影ほどシビアではないのでご安心を。むしろアイピースの性能のほうが大切だと思います。テスト記事では、Nagler31mmとの組み合わせで倍率17倍。実視界4.7度。での観望インプレッションが載ってますが、像面の平坦さに全く問題はないとのことです。このアイピースを装着したNP101の視界は、「筆舌につくしがたいほど素晴らしい。」と書かれてますよ。

No title

> ken*ak*ha*hi20*さん
FSQとNPは設計コンセプトが全く違います。FSQは撮影での使用が主体だけど眼視観望も出来る。NPはほぼ眼視専用で、撮影したければコンバージョンレンズを使う。だから発売当初はコンバージョンレンズはありませんでした。テスト記事に「出して欲しい」と、当時は書かれてます。製品の開発コンセプトを知らないと製品に優劣はつけられない。そう感じます。

No title

予算の少ない私には天上の世界のような話ですねぇ…。
こんな世界では私のように短焦点のアクロで観望するなんてのはとんでもない暴挙なのでしようね。

No title

> ようかんさん
こんにちは。コメントありがとうございます。いえいえ。短焦点アクロマート。用途をよく考えれば、すごくお買い得だと思いますよ。一昨年。しらびそ高原で12㎝F5にイーソス17mmを装着した、高価なんだか安価なんだか分からない双眼望遠鏡で見た星空は圧巻でしたね。
自分も今までは独身貴族だったので、物欲MAXでいろりろ購入しましたが、これからは現有機材で。それこそ「機材より星」で、じっくりと星見を楽しめるのでは....と思っています。

No title

設計コンセプトの違い、了解です。TeleVue社は元々アイピースが主力商品
(望遠鏡はアイピースの社内評価用に製作したのが始まりらしい)ですから、
望遠鏡は眼視を主ターゲットとしているのは、納得です。
とはいえ、NP101(特にNP101isはリア側レンズのより大口径化、接眼部の
2.4インチ化など撮影機能を強化)は撮影に使用してもFSQに迫る性能を有す
る10cm屈折アストログラフとして、アメリカでは評価されているようです。
値段的には国内新品価格はほぼ同額(アメリカではFSQの方が$1,000以上高価)。
届いたら宝の持ち腐れにならないよう、酷使します。

No title

> ken*ak*ha*hi20*さん

あっそうか。IS。イメージングシステムのみの販売になったんですね。それによってバックフォーカスが伸びたので、様々なアクセサリーが着くようになったのでした。

NPのレンズ構成は、オーソドックスな物です。ペッツバール方式は、像面湾曲と非点収差を一緒に補正することが出来ませんが、天体望遠鏡のように、主に視野の中心付近しか使わないのであれば全く問題が無い…というのが、NPの設計方針で。これを撮影用に像面湾曲も非点収差も高次元で補正するとなると、FSQやSDPのように後群を分離するなどしてパワー配分を変える必要が出て来ます。なのでNPは、Fは明るいですがそれはコンパクト化を優先した結果で、光学系の設計方針は、タカハシ製品に例えるとTOAに近い物です。

No title

昨日(5月1日)、NP101isがアメリカからUPSで届きました。USED品という事で
リスク覚悟で購入しましたが、検品したところ良品でほっとしました。
外観は汚れ、埃がありましたが、光学系はきれいでメカも問題ありませんで
した。NP101isは2002年頃のリリースで、現在は2011年バージョンが最新です
が、届いたのは初期バージョンで、x0.8レデューサー、Focusmateドライバー、
デジタルインジケーターキット付きで、結構お買い得品でした。難点はケース
がNP127isと共用品で大きい(現行品はより小型の専用品)のと、Focusmateが
左利き用で1/10減速ピント合わせがし難いことです。その夜、短時間ですが、
ファーストライトをしました。対象はシーズン終盤の木星と、うしかい座の
2重星プルケルマ。印象は色収差が感じられず、ハイコントラスト。焦点内
外像も対象できれいでした。

No title

そうですね確かに個人でF15の口径の大きな望遠鏡を持つのはかなり大変だと思います。

No title

2年以上たって恐縮ですが、F9以上の長焦点のメリットとして考えられるのは、

「眼視用途で口径12センチ以上の2枚玉光学系に限って考えた場合に、焦点距離をF9相当以上にすれば、所収さを目立たないレベルまで小さくできる。」

点でしょうか。2枚玉のメリットは、温度順応性が同口径で空気分離式の3枚玉に比べて、体感1.5 倍ほど早く、高精度レンズセルの重量をあわせ考えた場合に、鏡筒を比較的軽くできる点でしょうか。室温から外気に出した時に、一般的に2枚玉なら15 ー 30 分早く順応する印象です。一方、1時間以上待つのなら、眼視用途にしか使わない者としては、20-25 センチ級の反射望遠鏡も視野に入ってくるかなと。もちろん写真撮影用途なら、答えは全く異なってくるとは思います。

「長焦点神話」と言ってよいのかわかりませんが、何も日本に限った事ではなくて、 APM 社等も長焦点アポ製品を出していると思います。

No title

> 通りすがりの者さん
古い記事へのコメントありがとうございます。
おっしゃるとおりで、長焦点にする最大のメリットは対物系の「アラ」を見えにくくすることだと思います。低い拡大率で高い倍率が得られますから、研磨精度が比較的高い中~長焦点アイピースが使える→トータルで高い結像性能が得られるメリットもあります。
温度順応に関してもおっしゃるとおりだと思いますが、所有するTSA102で20度以上の気温差では一時間順応に要しましたが、観望レベルなら40分くらいで実用できるまでにはなるようです(ブログ内記事有り)。
近く、二枚玉のFC100DFが来ますので、その点をキチンと検証したいです。
ただ、個人的に見逃せないのが操作性、可搬性です。これは短焦点のほうが圧倒的に有利です。ここらへんは個人的指向性が多分にあると思います。今回、生産中止になったFC100DLがあるにも関わらずFC100DFを選んだのは、1センチでも短く。1グラムでも軽く…と考えた末でした。
10センチ級はアポは性能だけではない視点での選択の幅が広いので悩みますね(^_^;)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

こもロハス

Author:こもロハス
FC2ブログへようこそ!